用語解説
「経済活動」 【けいざいかつどう】
- 「例えば現代社会においても、〈生存〉は確かに実現されている。注目したいのは、それがこれまで見てきたように、あの〈社会的装置〉が供給する財やサービスによって成立しているという事実である。……より直接的に言うならば、交換のための貨幣を調達する“通路”を確保し、それを死守していくことが絶対的に不可欠となる。この貨幣調達のための営為のことを、ここでは「経済活動」と呼ぶことにしよう。」 (上巻 149)
「〈生〉の三契機」としての〈生存〉を実現する現代的な様式のことで、〈社会的装置〉を構成する「市場経済」、「官僚機構」、「情報世界」に接続することによって貨幣を獲得し、そこから必要とされる財やサービス、情報などを調達すること。
自然物に直接働きかけるのではなく、〈社会的装置〉のブラックボックを介して、何ものかに労働力を提供したり、何ものかが生産した商品を受け取ったりすることに特徴がある。
「経済活動」の実践においては、「財やサービスを生みだす側」と「財やサービスを消費する側」という画一化された振る舞い(「経済活動の倫理」)を通じてスムーズな相互作用が可能となるが、それは「〈我‐汝〉の構造」の介在をほとんど許さないほどに強力働くひとつの〈間柄〉とも言えるので、「(〈間柄〉によって)塗りつぶされた〈関係性〉」としての閉塞感をももたらすことになる。
なお、現代では「自己実現」が人生における至上の価値とされ、「経済活動」は「自己実現」のための手段として理解される。