ディスカッション


未来世界を哲学する―環境と資源・エネルギーの哲学)
未来世界を哲学する
環境と資源・エネルギーの哲学


〈自己完結社会〉の成立(上)
上柿崇英著


〈自己完結社会〉の成立(下)
上柿崇英著

環境哲学と人間学の架橋(上柿崇英 
/尾関周二編)
環境哲学と人間学の架橋
上柿崇英/尾関周二編


研究会誌『現代人間学・
人間存在論研究』

   

用語解説

   

「経済活動」 【けいざいかつどう】


 「例えば現代社会においても、〈生存〉は確かに実現されている。注目したいのは、それがこれまで見てきたように、あの〈社会的装置〉が供給する財やサービスによって成立しているという事実である。……より直接的に言うならば、交換のための貨幣を調達する“通路”を確保し、それを死守していくことが絶対的に不可欠となる。この貨幣調達のための営為のことを、ここでは「経済活動」と呼ぶことにしよう。」 (上巻 149



 「〈生〉の三契機」としての〈生存〉を実現する現代的な様式のことで、〈社会的装置〉を構成する「市場経済」「官僚機構」「情報世界」に接続することによって貨幣を獲得し、そこから必要とされる財やサービス、情報などを調達すること。

 自然物に直接働きかけるのではなく、〈社会的装置〉のブラックボックを介して、何ものかに労働力を提供したり、何ものかが生産した商品を受け取ったりすることに特徴がある。

 「経済活動」の実践においては、「財やサービスを生みだす側」と「財やサービスを消費する側」という画一化された振る舞い(「経済活動の倫理」)を通じてスムーズな相互作用が可能となるが、それは「〈我‐汝〉の構造」の介在をほとんど許さないほどに強力働くひとつの〈間柄〉とも言えるので、「(〈間柄〉によって)塗りつぶされた〈関係性〉」としての閉塞感をももたらすことになる。

 なお、現代では「自己実現」が人生における至上の価値とされ、「経済活動」は「自己実現」のための手段として理解される。