ディスカッション


未来世界を哲学する―環境と資源・エネルギーの哲学)
未来世界を哲学する
環境と資源・エネルギーの哲学


〈自己完結社会〉の成立(上)
上柿崇英著


〈自己完結社会〉の成立(下)
上柿崇英著

環境哲学と人間学の架橋(上柿崇英 
/尾関周二編)
環境哲学と人間学の架橋
上柿崇英/尾関周二編


研究会誌『現代人間学・
人間存在論研究』

   

用語解説

   

「官僚機構」 【かんりょうきこう】


 「初期の国民国家が取り組んだ事業が“国民史”の編纂であるとともに、国民としての文化、そして標準化された国語を普及させるための“小学校”の整備だったことは決して偶然のことではないだろう(48)。そして時代が下り、社会保障を含んだ“行政サービス”という形で国家の役割が増大していくにしたがい――ある面ではよりいっそうの自由と平等の実現のために――官僚機構は膨張していくことになるのである。」 (上巻 117



 「市場経済」「情報世界」に並び、〈生の自己完結化〉〈生の脱身体化〉をもたらす〈社会的装置〉を構成している要素のひとつで、各自が自らに与えられた職務を遂行することが、結果として組織体全体の目標を達成させることになる「社会的制度」の一類型でもあるもの。

 官吏を用いた行政システムは古代王朝にも見ることができたが、M・ウェーバーが分析したように、没意味化した合理性によって人々を機能的に組織化する「官僚機構」は近代において出現したものである。そこでは〈社会的装置〉に接続する人々が、集団的に組織化され、それぞれに行われる行為の帰結が、〈社会的装置〉全体として、特定の機能を発揮するように調整されることになる。