用語解説
「〈関係性〉の場」 【かんけいせいのば】
- 「つまり〈自己存在〉は、いまこの瞬間においても、この〈関係性〉の網の目を通じて「私」となっている(15)。そしてそれゆえ、瞬間的に出現するそれぞれの「私」は、確かに「私」ではあっても、一度として同じものではないとも言えるのである。本書では、この〈自己存在〉の背後にあって「共振」する無数の「〈我‐汝〉の構造」を指して「〈関係性〉の場」と呼ぶことにしよう。」 (上巻 211)
〈自己存在〉の背景にある、無数の〈他者存在〉との「〈我‐汝〉の構造」ないしは「意味のある〈関係性〉」の網の目のこと。
〈存在の連なり〉の概念(人間の存在様式が、決して個体としての自己に完結されるものではなく、時間的、空間的な位相を超えた無数のつながりのなかからこそ、自らが現実と向き合うための意味や活力が呼び起こされることを指す)を、「〈関係性〉の分析」(第三のアプローチ)から捉え直したもの。
〈社会的装置〉に依存する「〈ユーザー〉としての生」が拡大すると、人々は自身にとって都合の良い他者とのみ関わりたいと願うようになるが、「意のままになる他者」との間に「意味のある〈関係性〉」は成立せず、したがってそこには「意味のある私」もまた成立することはない。