用語解説
「〈関係性〉の分析」 【かんけいせいのぶんせき】
- 「そこで第三のアプローチである「〈関係性〉の分析」が必要となる。このアプローチでは、人間を“自己”と“他者”が織りなす〈関係性〉の構造のなかから理解しようと試みる。……ここで焦点となるのは、集団として世界に向き合う人間ではなく、あくまでひとりひとりの人格的な存在である。ここから浮かびあがってくるのは、他者があっての“この私”であると同時に、独立した人格を持ち、〈関係性〉の負担を乗り越えながら共同を実現していくわれわれの姿なのである。」 （上巻 10）
本書において、人間存在の本質とは何かを明らかにするために用いられている三つのアプローチのうちの一つ。とりわけ、ひとりひとりの人格的な存在としての人間が取り結ぶ〈関係性〉のあり方から分析を試みる点に特徴がある。
三つのアプローチには他に、人間存在を、その存在を取り囲む〈環境〉との関係性において理解する「環境哲学」と、その存在をこの世界で実現する〈生〉の具体的な活動のなかから理解する「〈生〉の分析」がある。