ディスカッション


未来世界を哲学する―環境と資源・エネルギーの哲学)
未来世界を哲学する
環境と資源・エネルギーの哲学


〈自己完結社会〉の成立(上)
上柿崇英著


〈自己完結社会〉の成立(下)
上柿崇英著

環境哲学と人間学の架橋(上柿崇英 
/尾関周二編)
環境哲学と人間学の架橋
上柿崇英/尾関周二編


研究会誌『現代人間学・
人間存在論研究』

   

用語解説

   

〈環境〉の二重性(二重構造) 【かんきょうのにじゅうせい】


 「この指摘は、われわれの議論にとってきわめて重要である。なぜならここで示唆されているのは、存在によって定義され、その存在を成立させる基盤となる〈環境〉が、とりわけ「人間的〈環境〉」の場合、自然生態系と「人為的生態系」という形で「二重構造」をなしているということだからである。」 (上巻 91



 生物存在にとって一般的な〈環境〉が、遺伝的に想定された特定の自然生態系であるのに対して、「人間的〈環境〉」には、自然生態系に加え、その表層に人為的に構築された「人為的生態系」が含まれるという点において顕著な特徴がある。

 この二重性は、人間が関与する世界においては必ずみることができ(奥山であっても人間の痕跡はあり、ビル群の下にも土壌がある)、「人間的〈環境〉」を説明する際、なぜ自然環境と社会環境という二つの環境世界を想定しなければならないのかという根拠となっている。

 とりわけ「人為的生態系」としての〈社会〉(社会環境)は、人間存在の成立条件に取ってきわめて重要であり、そのことは、「赤子のロビンソン・クルーソーの比喩」によっても説明される。