ディスカッション


未来世界を哲学する―環境と資源・エネルギーの哲学)
未来世界を哲学する
環境と資源・エネルギーの哲学


〈自己完結社会〉の成立(上)
上柿崇英著


〈自己完結社会〉の成立(下)
上柿崇英著

環境哲学と人間学の架橋(上柿崇英 
/尾関周二編)
環境哲学と人間学の架橋
上柿崇英/尾関周二編


研究会誌『現代人間学・
人間存在論研究』

   

用語解説

   

〈環境〉 【かんきょう】


 「われわれはここから、特定の主体によって独自の形に定義され、同時にその主体をひとつの存在として成立させる基盤となる環境という、ある種の存在論的な〈環境〉の概念に行き着くことができる。われわれが「環境哲学」と呼ぶ方法の真価は、まさにそこにあるといって良いのである。」 (上巻 86



 一般的に環境というと、われわれは環境問題や持続可能性、エコロジーなどを連想する。しかし環境概念の元々の含意は、主体を想定した場合の「めぐり囲む外界」である。本論でいう〈環境〉は、この原意に立ち返り、特定の主体(生物)にとっての存在論的な環境の概念をさすものである。

 存在論的な〈環境〉概念において重要なことは、〈環境〉とは、あらゆる存在にとって同じ意味を持って現前するようなものではなく、主体によって定義されると同時に(J・ユクスキュルの「環世界」概念を想起)、その存在を成立させる基盤(小原秀雄の「ハビタット」概念を想起)としての役割をも併せ持っているという点である。