ディスカッション


未来世界を哲学する―環境と資源・エネルギーの哲学)
未来世界を哲学する
環境と資源・エネルギーの哲学


〈自己完結社会〉の成立(上)
上柿崇英著


〈自己完結社会〉の成立(下)
上柿崇英著

環境哲学と人間学の架橋(上柿崇英 
/尾関周二編)
環境哲学と人間学の架橋
上柿崇英/尾関周二編


研究会誌『現代人間学・
人間存在論研究』

   

用語解説

   

「社会的構造物」 【しゃかいてきこうぞうぶつ】


 なぜなら人工物が秩序をなすのは、ひとえに人間の場合だけであって、人間以外の生物にとっては、それは各々の〈環境〉を構成しうる単なる物質でしかないからである。つまり一連の人為的集積物のことを「社会的構造物」と呼ぶのだとすれば、それは人間存在にとって、自然生態系に見いだされる「環世界」とは別の、いわばもうひとつの「環世界」だと言えるのである。」 (上巻 93



 人間存在が、自然生態系の表層に形成した「人為的生態系」(社会環境、ないしは「社会的なもの」)の一成分。

 具体的には、道具に始まり、耕地、家屋、道、あるいは高層ビルや光ファイバーに至るまで、人間が自然物に関与すること形成した物質的なもののすべてが含まれる。

 「人為的生態系」には、他にも非物質的な成分として、人間個体を集団的に組織化し、各自の行為の帰結を機能的に調整していく「社会的制度」、われわれが物事を認識し、理解するための概念や意味の基盤(解釈の枠組み)をなす「意味体系=世界像」が含まれている。