ディスカッション


未来世界を哲学する―環境と資源・エネルギーの哲学)
未来世界を哲学する
環境と資源・エネルギーの哲学


〈自己完結社会〉の成立(上)
上柿崇英著


〈自己完結社会〉の成立(下)
上柿崇英著

環境哲学と人間学の架橋(上柿崇英 
/尾関周二編)
環境哲学と人間学の架橋
上柿崇英/尾関周二編


研究会誌『現代人間学・
人間存在論研究』

   

用語解説

   

「生きた地平」(に立つ) 【いきたちへい】


 「〈存在の連なり〉のもとで掌握された過去には、現実と対峙していくわれわれを励まし、勇気づける力があるだろう。そこにあるのは、われわれが立ち返ることができる“意味の源泉”としての潜在力である。つまりわれわれが現実と向き合う際、こうした無数の「意味のある過去」をそのための足場として定めること、それがここで言う「生きた地平」に立つということなのである。」 (下巻 14



 われわれが自らの置かれた現実と対峙する際、その現実をさまざまな「意味のある過去」が連なって形作られた地平として捉え、またその現実に挑む〈自己存在〉を、さまざまな「場の連続性」や「〈生〉の連続性」を負いながら、その地平に立つ者として理解すること。

 人間存在にとって、時空間的に孤立した自己として向き合うには、現実はあまりに悲哀や残酷に満ちている。しかし目の前の現実をこうした〈存在の連なり〉のもとで理解することによって、過去は単なる事実としての過去ではなく、自身が現実と向き合う“意味の源泉”としての潜在力を持つようになり、現実と対峙していくわれわれを励まし、勇気づけてくれるものとなる。