用語解説
「〈共同〉のための技能」(の共有) 【きょうどうのためのぎのう】
- 「とはいえ、〈共同〉が成立する条件としては、まだ不十分である。そこで最後に言及したいのは、「〈共同〉のための技能の共有」、すなわち構成員の間で、「共同行為」を実現させるためのある種の“技能”が共有されているという、第三条件である。この「〈共同〉のための技能」を考える場合、最も広い文脈において重要となるのは、負担の分配に関わる諸々の“技能”である。」 (上巻 264)
人々が“遠心力”となる〈共同〉の負担を乗り越え、十全な「共同行為」を成立させる“求心力”となる契機のひとつで、具体的には、人々が互いに意思の疎通を行い、立場や利害、感情への理解を深める「発話の技能」、特定の人間に過剰な負担が生じることなく、また特定の人間だけが負担を被らないフリーライダーとなることもなく、なおかつ個別的な事情に配慮した形で分担の構図を描いていく「工夫の技能」などがある。
なお、こうした〈共同〉の求心力となる契機は、この他にも「〈共同〉のための事実」の共有、「〈共同〉のための意味」の共有がある。