用語解説
「人間的〈生〉」 【にんげんてきせい】
- 「その〈生〉は、生身の人間にとっての〈生〉、すなわち〈生活者〉としての〈生〉である。そして外部から二重の〈環境〉として見えていたものは、ここでは〈生活者〉が〈生〉を実現するための舞台、あるいは具体性を帯びた“生活の場”として現前することになるだろう。それを本書では、改めて〈生活世界〉と呼ぶことにする。要するに、こうして浮かびあがる「人間的〈生〉」の諸相こそが、ここで人間という存在を描きだすための、第二の枠組みとなるのである。」 (上巻 144)
「〈生〉の分析」(第二のアプローチ)から理解される〈生〉の構造について、特に人間存在の〈生〉について強調したもの。
本書では人間以外の生物存在の〈生〉についてそれほど論じていないが、ここにはそれがきわめて人間的な〈生〉の形であるという含意が含まれている。「人間的〈環境〉」(第一のアプローチ)、「人間的〈関係性〉」(第三のアプローチ)と一揃いになる概念。