ディスカッション



〈自己完結社会〉の成立(上)
上柿崇英著


〈自己完結社会〉の成立(下)
上柿崇英著

環境哲学と人間学の架橋(上柿崇英 
/尾関周二編)
環境哲学と人間学の架橋
上柿崇英/尾関周二編


研究会誌『現代人間学・
人間存在論研究』

   

用語解説

   

〈ユーザー〉 【ゆーざー】


 ここでは、人間はいわば〈社会的装置〉の〈ユーザー〉なのであって、システムの提供する“機能”を自由に利用しさえすればそれでいい。あとはシステムの方が水面下でうまくやってくれる、というわけである。 (上巻 52



 〈社会的装置〉に依存する人々の〈生〉の様式を、ウェブ上のサービスにおける“システム”に対する“ユーザー”のアナロジーを元に揶揄したもの。

 ウェブ上のサービスにおいては、ユーザーとして登録されれば、システムが与えてくれるあらゆるサービスを享受することができるが、そのサービスの内容やシステムそのものを操作することはできない。

 それと同様に、現代人は〈社会的装置〉が実現してくれる範囲で我慢することさえできれば、自らの力で〈生〉のあらゆる側面を一から組み立てていく負担から解放され、一定の自由と平等を享受することができる。

 しかしそれは、あくまで〈社会的装置〉に規定され、〈社会的装置〉に依存することによってはじめて実現されるものであるという意味において〈ユーザー〉としての「自由」と「平等」である。