ディスカッション


未来世界を哲学する―環境と資源・エネルギーの哲学)
未来世界を哲学する
環境と資源・エネルギーの哲学


〈自己完結社会〉の成立(上)
上柿崇英著


〈自己完結社会〉の成立(下)
上柿崇英著

環境哲学と人間学の架橋(上柿崇英 
/尾関周二編)
環境哲学と人間学の架橋
上柿崇英/尾関周二編


研究会誌『現代人間学・
人間存在論研究』

   

用語解説

   

「一世代25歳の比喩」 【いちせだいにじゅうごさいのひゆ】


 「想像してみてほしい。まず、読者の母親が読者を産んだのが二五歳のときであると仮定しよう。加えて読者の祖母が読者の母親を産んだのが同じく二五歳のときであると仮定する。そうすると、50年前とは、およそ読者の祖母が読者と同じ年齢だった頃に相当することになる。そしてこの仮定を繰り返していくと、100年前とは、およそ読者の祖母の祖母にあたる人物が、さらには500年前とは、およそ一連の行程を五回繰り返した先にいる読者の祖先が、それぞれ読者と同じ年齢だった頃に相当するということになるのである。」 (下巻 12-13



 特定の歴史的事実を「意味のある過去」として捉え、われわれ自身が「生きた地平」のもとで現実と向き合っていくための実践的な手段の一つで、一世代を25歳で交代すると仮定したとき(読者の母親が読者を産んだのが25歳であると仮定し、その母の母(祖母)が母を産んだのが25歳であると仮定し、と繰り返していく)、特定の歴史的な地点が、自身に連なる何世代前の祖先が生きた時代に重なるのかを比喩的に理解するための方法。

 例えば昭和七年(1932年)は、2020年基準で言うと88年前であるが、この比喩を用いると、75年前がちょうど読者の曾祖母にあたる人物が読者と同じ年齢だった頃に相当するため、昭和七年とは、およそ曾祖母が読者よりも一回り若かった頃に相当する、ということになる。