用語解説
「第二次マルクス主義」 【だいにじまるくすしゅぎ】
- 「例えば激しい産業化や都市化の洪水のなかで、何か人間としての重要なものが失われつつあるのではないかという素朴な感覚は、早い段階から指摘されていたと言える。効率を求める過度な合理化や、それがもたらす人間的感性の衰え、関係性の希薄化など、一連の問題はしばしば大衆社会の病理、あるいは総じて「人間疎外」の問題と呼ばれていた。そしてそこに「疎外論」という理論的支柱を与えたのは、「マルクス=レーニン主義」と決別し、人間論としてマルクスを読み替えた「第二次マルクス主義」であっただろう。」 (下巻 27)
階級闘争論や史的唯物論を中心とした伝統的なマルクス主義(「マルクス=レーニン主義」)に対して、全体主義への警鐘やソ連の権威低下を背景として、1960年代以降、人間論としてのマルクスの再解釈を主軸として形成されてきた新しいマルクス主義のこと。
『経済学/哲学草稿』や『ドイツイデオロギー』を含む、『経済学批判』や『資本論』以前のマルクスの草稿や手紙などを主な分析対象とし、「自由な個性」を重視する点に特徴がある。「疎外論」や「物象化論」、「牧歌主義的―弁証法的共同論」(『経済学批判要綱』において描かれた歴史観をもとに展開された)などをその理論的な支柱とする。